6ページ 子ども食堂「まるっと栗原」 力を合わせて居場所をつくる  「ごはんできたよ」。元気に遊び場を走り回る子どもたちに、昼食を知らせる声がかかる。笑顔と共に、昼食場所に駆け寄る子どもたち。  ここは、子ども食堂「まるっと栗原」。若柳地区で月1回開催されています。その子ども食堂は、NPO法人がボランティアスタッフと共に協力しながら、運営にあたっています。そこには、親も子も、地域の人もみんなが笑顔になる空間が広がっています。  活動の様子を代表の後藤さんに伺いました。 必要とする人たちに そっと寄り添い続ける NPO法人まるっと栗原 理事長 後藤 香苗(ごとう かなえ)さん(栗駒八日町) 居場所をつくる  私は、以前、栗駒地区耕英にある、くりこま高原自然学校で働いていました。そこでは、森のようちえんと題したプログラムの中で、子どもたちが自然の中で自ら遊びを創造し、たくましく成長していく様を見てきました。  私も子どもを育てる年代になり、子どもたちが自ら遊びを創造しながら、思いっきり遊べるようにしてあげたいと思っていた矢先、若柳地区で子ども食堂を立ち上げようとする当団体の前代表と出会いました。また、同じ頃、プレーパークの開催場所を探していた一関プレーパークの代表に出会い、若柳地区でとんとん拍子に、子ども食堂開設の話が進んでいきました。  プレーパークは、子どもが自ら遊びを創造するもので、まるっと栗原は、食事とプレーパークをまるっと一括で提供しようとするものです。これは、当団体の名前の由来にもなっています。そして、このプレーパークは、食事の提供と並び、まるっと栗原の取り組みの柱の一つになっています。  おととしの7月に第1回目の子ども食堂を開催して以来、これまで約20回ほど、若柳公民館を会場に、子ども食堂を開催してきました。  これまでの活動で大切にしていることがあります。それは「誰でも参加できること」、「地域の食材を使った料理を提供すること」、「いっぱい食べて、いっぱい遊んで帰ってもらうこと」です。これまでの開催の中で、繰り返し利用してくれる人も増えてきました。子どもが思いっきり遊べる、親が一息つける場などを目指し活動してきましたが、まるっと栗原が「利用する人たちに必要とされ、確実に居場所になっている」。このことに、活動の手応えを感じています。  もちろん、大変なこともあります。仕事をしながらの活動のため、時間をつくることが難しく、焦りもします。それでも、まるっと栗原を必要としてくれる人たちが、笑顔で帰ってくれるよう、これからも、そっと寄り添っていきたいです。  そして、いろいろな地域で子ども食堂の輪が広がっていくことを願っています。 7ページ 【特集】栗原の子ども食堂―居場所をつくる― Interview NPO法人まるっと栗原 理事 久光 伸夫(ひさみつ のぶお)さん(志波姫荒町)  まるっと栗原は、子どもたちの遊びを支援する人たちも、日々の仕事が保育士であったり、その分野のプロも多く、とても心強いです。  先日、まるっと栗原の旗を作ろうという話になり、さっそくメンバーたちは、草木染めで旗の下地を染めてきました。また、子ども食堂を利用する人たちに協力してもらい、その旗に手形を押して、彩りを添えてもらうことを思いつくなど、アイデアも豊富で、本当に驚くことが多いです。  さらには、子どもたちが安全に遊べるように、危険を予測し、さりげなく除去するなど、その細かな気遣いにも、感心させられることが多くあります。 對馬(つしま)さん家族(若柳大林2)  まるっと栗原をこれまで何度も利用しています。ここは、わいわい、ガヤガヤとした雰囲気が楽しいです。  家族だけで家にいるよりも、ここでは気持ちが楽になります。お昼ご飯の準備から片付けをスタッフの人がやってくれるため、子育て世帯には、とても助かります。また、親以外の大人や高校生ボランティアが、子どもと一緒に遊んでくれるため、大人はほっとでき、子どもは楽しく遊ぶことができます。さらに、誰でも利用できるところも、うれしいです。  まるっと栗原は、これからも利用したいです。また、子どもが成長したらボランティアとしても関わりたいです。 写真 ①子どもが遊び方を自分でつくれるように、工夫と楽しいが詰まったプレーパーク。 ②広い体育スペースもあり、雨天でも安心して遊びを満喫できる。 ③子どもたちも楽しみにする昼食の準備。連携して効率よく調理が進む。 ④子ども食堂で配るお米を準備する様子。開催に向け、こつこつと準備を重ねていく。 ⑤11月の開催日は、カボチャシチューとご飯、大根のツナサラダ、漬物が50食分提供された。